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乳歯遺残

乳歯が抜けずに残ってしまうことをいいます。
小型犬が多く、犬歯、切歯(前歯)の順に残ることが多いです。乳歯が抜ける時期は、その部位の永久歯が生える時期、すなわち犬では3~6ヶ月齢となります。
この時期を過ぎるとほとんどの場合抜けることはないと思われます。

乳歯遺残による悪影響

 1. 乳歯が残っていることによって、永久歯の生えてくる位置がずれ、歯並びが悪くなってしまう。このことで噛み合わせがずれてしまうこともある。 
 2. 残っている乳歯と永久歯の間の部分に汚れ(歯垢や歯石)がつきやすく、放っておくと歯周病を引き起こしてしまう。 
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歯並びが悪くなっても、程度によっては、早い時期に乳歯を抜くことによって治ることもあります。
また、乳歯がなくなることで歯磨きなど、日頃のケアが楽にできるようになります。

歯の萌出

イヌ・ネコ・フェレット達は、私達人間と同様、乳歯と永久歯の2回歯が生えます。
歯が生えることを萌出といいます。
若い時はこの萌出する時期によってある程度年齢を見分けることができます。

萌出時期はその個体によって違いがあります。
例えば、メスはオスよりも、大型犬は小型犬よりも早く萌出します。
また、夏に生まれた個体の方が早いです。 全身状態や栄養状態によっても時期が変ってきます。

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お口の臭い気になりませんか?

お口の臭いの原因は、主に歯周病です。
歯周病とは、歯についた歯垢(プラーク)の沈着・蓄積によって起こります。また、歯石の蓄積は歯周病を悪化させる要因となります。
歯周病が悪化すると、下記のような症状が起こります。

歯垢がたまる / 歯肉炎が起こる / 歯周軟部組織(歯茎など)が侵される / 歯槽骨(顎の骨)が侵される
骨吸収が進み、歯を失ったり、顎の骨折の原因となる

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心臓病(心内膜炎) / 腎炎 / 肝疾患 / 消化管機能障害

歯周病は他に上記のような全身性の疾患につながり、命にも関わってきます。
そうならない為にも、歯石除去や家庭での歯磨きをしてあげるようにしましょう。

歯周病進行過程

01. 歯垢がたまる

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02. 歯肉炎が起こる

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03. 軽度歯周炎 軟部組織が侵される

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04. 中度歯肉炎 歯槽骨(顎の骨)が侵される

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05. 重度歯肉炎

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06. 歯を失い顎骨折の原因

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歯磨きの方法

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01. お口をさわる事に慣れさせます

[1] 吻部(鼻つら、マズール)を軽くつかんで口を閉じます。数秒間、静かに口を閉じている事に慣れさせます。
[2] 次に、唇をめくって前歯を観るようにします。さらに口角を後ろに引いて奥歯も観てみます。
[3] 吻部をつかんで歯を観る時間を徐々に長くしていきましょう。途中で嫌がったらやめてください。絶対に無理はしないようにします。
※ここまでは、口を無理に開かせることはしないでください。

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02. 歯磨きをはじめます。まずはガーゼから

[1] 10秒程度お口を触らせてくれるようになったら、指にガーゼを巻いて前歯の外側を軽く擦ります。歯と歯茎をマッサージするようにします。
[2] 慣れたら奥歯の外側を同様に行います。

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03. 歯ブラシや歯磨きペーストを使い始めます

[1] ガーゼの代わりに歯ブラシを使います。ガーゼの時と同様に前歯からはじめます。
[2] 歯ブラシを歯と歯茎の境界に約45度の角度であてて、歯と歯茎を円を描くようにマッサージします。
[3] 歯ブラシを嫌がるようであれば、ガーゼを使う方法に戻りましょう。そして、そのまま続けてください。
[4] 歯ブラシを使って前歯と奥歯の外側が無理なくブラッシング出来るようになったら、口を少し開けて歯の内側も磨いてみましょう。

とにかく、ゆっくりとリラックスした状態で行ってください。
小型犬や猫では正面から向かい合って、大型犬では側方からがやり易いでしょう。がんばってください。