車酔い
最近は、ペットのイベントや一緒に泊れるホテルなどが増え、ペットとともに出かける機会が増えてきました。それに伴い、移動に関する悩みが増えてきています。
特に一番多いのは車酔いでしょう。酔い易いか否かは個体差がありますが、幼い時からいろいろな乗り物にのったり車の移動に慣らされていると、酔い難くなるようです。それでも移動時間や方法によっては乗り物酔いになることも多いので、出発の前には周到な準備をしてあげる必要があります。
移動の時には時間が短いとしても、しっかりとしたケージを用意しましょう。そして、よく監視できる所に置くようにします。もし犬を車の中で自由にさせたいのであれば、ハーネスのような肩にかけられる胴輪付きリードでつないでおきましょう。首輪に繋ぐことはしないようにしてください。また、落ちる危険があるので、窓は閉めておくようにします。トランクの中は換気が不十分ですので絶対に入れないでください。これからの季節、車内は暑くなりやすいので、熱射病にかからないように、車から離れる時にはケージごと犬も外に出すようにすることも大事なことです。
また、出発前には、車に酔い易くなるので食餌は与えないようにしておきましょう。もし、長時間(4~6時間)かかる場合には、水とトイレ容器を用意しておく必要があります。ティッシュペーパー、ビニール袋、新聞紙などを多めに用意しておくと便利です。
目的地に到着したら、しばらくの間、犬を静かな場所に水とトイレ容器を置いてそっとしておきましょう。
それでも車酔いがひどい子には、あらかじめ動物病院で乗り物酔いを防ぐための精神安定剤を処方してもらうとよいでしょう。
場合によってはいっしょに連れて行くよりもむしろペットホテルなどに預けた方が良いこともあります。
タマネギ・ネギ中毒
多くの飼主さんが、ペットに長ネギやタマネギを与えてはいけないとお聞きになったことがあると思います。では、何がいけないのでしょうか。今回は、ネギ中毒についてお話します。
ペットがタマネギを摂取すると、タマネギの細胞に含まれている有毒成分によって、赤血球の膜に変化が起こります。この変化によって、血管内で赤血球が破壊されてしまいます。破壊が多かったり、長く続いたりすると貧血を起こしてしまうのです。症状としては、元気がなくなり、呼吸は荒く、手足が冷たくなります。血液が壊れた時に出る血色素によって尿が赤いワイン色になります。また、酸素を運搬する赤血球が少なくなるので酸素不足から、内臓などの障害も起こってきます。下痢や嘔吐を示すこともあります。貧血がひどい場合は輸血が必要となることもあります。
これらの症状は、イヌで問題になることが多いですが、大量に摂取すればネコでも、場合によっては人でも同様に起こります。
ハンバーグや野菜炒め、あるいは味噌汁やすき焼きの残りなどが良く問題になる食べ物です。
タマネギの有毒成分は熱処理によって破壊されませんので、どのような形態をとっても病気を引き起こします。御家族のペットの余りの可愛さについつい人の食物を与えてしまう方も多いと思います。あげる前に確認をしてください。 長ネギやタマネギ以外にも、エシャロットやにんにくでも同様の中毒が起こりますので注意しましょう。
猫の糖尿病
猫の体重管理は困難なことが多いかもしれません。しかし、摂取カロリーや運動量など、適切な計画をたてることにより必ず成功させることが出来るものです。気軽に動物病院で相談されてみてはいかがでしょうか。
てんかん
痙攣発作はイヌやネコでよく発生する疾患です。てんかん発作、卒中、ひきつけなどとも呼ばれますが、脳の異常な活動により、意識の喪失を伴うことのある全身あるいは部分的な筋肉の収縮活動の状態をいいます。イヌの6%弱、ネコの1%が一生のうちに痙攣発作を経験するといわれています。
原因としては、真性てんかんと呼ばれる遺伝的な脳疾患、殺虫剤や鉛などの中毒、腎疾患・肝疾患・低血糖などの代謝性疾患、脳腫瘍、水頭症、あるいは、ジステンパーや猫伝染性腹膜炎などの感染症などがあります。
症状は、その痙攣のタイプや強さによってかわり、体の一部だけに発生する部分的痙攣発作と、全身に現れる全身性痙攣発作とがあります。発作の前兆として、落ち着きが無くなり、走り回ったり、吠えたり、隠れたり、物をなめたりと行動上の変化がみられることがあります。そして、痙攣、すなわち、筋肉のふるえと収縮、意識の喪失、転倒、もがき、よだれなどがみられます。痙攣は通常、数秒から数分間継続し、痙攣が終わると眠りについたり横になった状態を保ちます。その後立ち上がっても、最初は方向が定まらず反応が弱かったりします。
長時間にわたる痙攣や、基礎疾患によっては生命に危険をおよぼす場合がありますが、多くの場合、薬でコントロールすることが可能であり、特に、真性のてんかんでは、特別な事故が起こらなければ、ほとんどの動物で寿命を全うすることが出来ます。症状の頻度や強さによっては生涯にわたり薬の投与が必要な場合がありますが、病気を理解することでうまくコントロールしていける疾患だといえます。
もしも痙攣に遭遇した時には、慌てず、よく症状を観察し、静かにしてあげましょう。ぶつかる危険があるものは周りから取り除くことも大事なことです。発作が終わり落ち着いたら動物病院に連絡をするようにしてください。
冬に起しやすい病気
十二月に入り、寒さも本番となりました。気温が低くなると、人でも風邪をひいたり体調を崩し易くなるように、ペット達も健康管理がとても大切になります。この時期に起こり易い病気を考えてみましょう。
気温が低くなると、体の抵抗力が下がります。特に空気が乾燥する冬場は、鼻や喉にウイルスの感染が起こりやすく、咳や鼻水などの症状を引き起こします。特にネコに多く起こりますが、悪化すると気管支炎や肺炎などに至ることもあります。
また、寒いことにより、水を飲む量が減り、尿が濃縮されるので、膀胱炎や膀胱結石などの原因となります。他にも、体が温まる前の急激な運動による関節疾患や、下痢、嘔吐などの消化器疾患もこの時期、起こり易い病気と言えるでしょう。
特に寒さに弱い子犬やネコ、ハムスターなどの小動物などは、温度管理をしっかりとして、体調の変化によく注意をし、病気の始まりを見逃さないようにしましょう。また、イヌに限らずネコでもウイルス疾患はワクチンの定期的な接種によって防ぐことが出来ます。予防と早期発見を心掛けましょう。
夏の暑さに御用心!
もうすぐ暑い夏がやってきます。全身で汗をかくことが出来ないワンちゃんやネコちゃん達にとって暑い季節はとても苦手です。
多くのコで食欲が減ったり運動を嫌うようになります。
この時期、特に熱中症に注意しましょう。熱中症とは、日射病や熱射病といった高温によって起こる体の障害のことをいいます。
気温や湿度の高いところで激しい運動をしたり長時間いたりすることで起こります。直射日光が当たる部屋を閉め切ってしまったり、屋外では日陰もなく風通しの悪いところに繋がれていたり、あるいは日中に車の中に閉じ込められたりと飼主さんの不注意による原因によっておこることも非常に多いです。
症状としては、体温が40℃以上に上昇、呼吸が荒くなりぐったりしてしまいます。意識が無くなったり、痙攣を起こすなどの神経症状がみられることもあります。迅速かつ適切な処置を受けないと死に至ることもあるのです。
もしも熱中症になってしまった場合には、応急処置として全身に水をかけるか濡らしたタオルで体を包んだ上で、扇風機をあてて体の表面を冷やしたり、また、首や脇の下、内股などの太い血管が通っているところにアイスパックなどをあてるなどをします。
そして、出来るだけ早く動物病院に連絡を取るようにします。
これからが夏本番です。お散歩は涼しい時間に行うようにし、飼育環境を今一度チェックしなおして、風通しがよいか、日陰はあるか、部屋は暑くならないか、飲み水は沢山あるかなど確認するようにしてください。また、夏休み、一緒にお出かけする機会が多くなりますが、車を離れる際には必ず一緒に連れていってあげるようにしましょう。
こんなに恐いフィラリア症
今回は、フィラリア症という病気についてお話します。
フィラリア症というのは、心臓や肺の血管に長さ17~25cm程のそうめんのような細長い虫が寄生する病気です。
感染すると、心臓や肺だけでなく肝臓や腎臓などにも異常をきたします。運動時や興奮時に咳をしたり、疲れ易く散歩を嫌がる、毛づやが悪くなり痩せてくる、そして腹水が貯まってくる、などの症状が出て、放置すれば死に至る可能性の高い、とても恐ろしい病気なのです。
この寄生虫は蚊が運んできます。ミクロフィラリアと呼ばれるフィラリアの幼虫をもつ蚊に刺されることにより、イヌあるいはフェレットなどの体に侵入していくのです。
全国的にみると、平均で約35%のイヌがこのフィラリアに感染していると言われており、予防していないイヌとなると40%を超えてきます。まだまだ身近な病気なのです。
しかしながら、しっかりとした予防をしてあげれば100%防ぐことが出来る病気でもあります。予防は、蚊が発生する時期にあわせて月一回予防薬を飲ませる方法で行います。また現在では、注射やスポットオンタイプ(滴下式)のお薬も用意されています。
予防期間や方法は獣医師と相談して決めていただくと良いでしょう。また、予防を始める前には動物病院にて血液検査を受けるようにしてください。
確実な予防で大切な家族をフィラリアから守ってあげましょう。
ノミ・マダニの話
気温も上がり花壇もきれいに彩られ、お散歩に出るのがとても気持ち良い季節になってきました。愛するペット達と一緒に外に出て遊ぶことはとても楽しいことですよね。でも、この時期はあの恐ろしいノミ、マダニが活発になる季節でもあるのです。
外部寄生虫とよばれるこれらの虫達はペット達にとってとてもやっかいな病気を運んできます。ノミに刺されておこる痒みやアレルギー性皮膚炎、あるいは腸内寄生虫の瓜実条虫。マダニがもたらすバベシア症やライム病、その他沢山の病気が日本には存在します。
また、病気はペット達だけに起こるものではありません。私達人にとっても、猫ひっかき病やライム病など、場合によっては生命にも関わるようなものもあるのです。
マダニは顔(特に眼の周りや耳)や肢先に多く寄生します。肢に寄生すると痛みで足がつけなくなる場合もあります。
また、ノミが寄生すると、ペット達は首や腰のあたりを痒がる仕草をします。ノミの場合は少数寄生だと成虫を見つけることが難しいので、ノミの糞を探すとわかりやすいでしょう。
背中や腰当たりに多く、ゴミと見分ける為には濡れたティッシュの上に置き、溶けて赤くなればノミの糞ということになります。ノミ、マダニどちらかでも認められたら、総合的な治療や駆除のために、動物病院にて相談を受けて下さい。
また、現在寄生がみられないようでも寄生の可能性がある場合には、首輪タイプのものやスポットオンタイプなど、そのコの環境に合わせた方法でしっかりとした予防をされることをお勧め致します。何ごとでも、予防は治療に勝ります。
電気コードを噛んだことによる傷害
お家の中で飼われている犬、猫、フェレットやうさぎ達はいろいろな物を口にしてしまう事があります。特に子供の頃に多い傾向にあります。
主な弊害は、異物を飲み込んでしまいそれが腸の中を通過できなくなる腸閉塞ですが、その他にも恐ろしい結果になることがあります。その中でも電気コードを噛むという事故は命に関わる危険がとても高くなります。
動物がうける電気損傷の多くは、低い電圧の電源から起こります。この場合、交流に対して特に敏感な心臓や呼吸中枢を障害し、致命的な心室細動や呼吸器系の麻痺を引き起こします。
また、中枢神経を介して末梢血管抵抗が増加、肺に水がたまる肺水腫という病気も引き起こします。幸いにもこれらの傷害から生還したとしても、口唇、舌、口蓋、歯肉などに大きな損傷を残す事となります。
部屋の中の物には細心の注意を払うようにしましょう。特に、若いコは要注意です。
万が一、感電の場面に遭遇してしまった場合には、あわてて身体に触らずに、電気コードを抜くか切るかして、電流を遮断し、そのあと口からコードをはずしてあげるようにしましょう。そして、出来るだけ早急に動物病院に連れていくようにして下さい。